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【アジタスの失敗から学ぶ】顧客理解を深めるリードナーチャリングと実践例

作成者: アジタス編集部|2024-09-02

マーケティング活動を行う中で、「リードナーチャリング施策が中途半端に終わってしまう」「思うような結果に結びつかない」という課題を抱える企業や営業担当者も少なくないでしょう。リードナーチャリングは顧客の購買意欲を高め、商談につなげる効率的な手法である一方、適切に実行できなければ機会損失などにつながってしまいます。

この記事では、リードナーチャリングを成功させるために重要なポイントや具体的な取り組み方法など、リードナーチャリングにおけるアジタスのノウハウを紹介します。

目次

1.リードナーチャリングの鍵は「顧客理解を深める仕組みづくり」

リードナーチャリングを適切に進めるためには顧客理解が必要不可欠であり、組織内で「顧客理解を深める仕組み」を構築することが重要です。

顧客について正しく理解できていなければ、いくらリードナーチャリングを行っても求める結果は得られません。正しいプロセスで顧客への理解を深めることで、リードナーチャリングの成果も変わってくるでしょう。

2.リードナーチャリングとは?

ここでは「アジタスが考えるリードナーチャリング」について解説します。

見込み顧客を育てて商談につなげるマーケティング活動

リードナーチャリングとは、「購買意欲を高めるマーケティング活動」と定義されることが多くあります。見込み顧客に対しあらゆる手段でアプローチし、自社商材への関心を高めて商談につなげるマーケティング手法です。

効率的なアプローチ方法である一方、ナーチャリングに失敗する企業の多くは「点のコミュニケーション」を行っている場合があります。例えば、ホワイトペーパーをダウンロードした顧客や、セミナー参加者への商談打診など、断続的なアプローチを重ねて商談の数を増やすことに注力するといった活動が挙げられます。

このように、自社商材への関心度を優先し、商談創出をゴールにする「点のコミュニケーション」は、顧客離れや商談機会の損失を招きかねません。

アジタスのリードナーチャリング=「コンテンツマーケティング」の一部

アジタスでは、リードナーチャリングを「コンテンツマーケティングの一つ」と考えています。

一般的にコンテンツマーケティングは、手法として記事やホワイトペーパー、セミナーなどの制作物が挙げられますが、メールやコール活動、相談会も有益な情報発信ツールであり、コンテンツマーケティングの手法であると言えるでしょう。

このように、顧客とのコミュニケーション手段になり得るツールはすべてコンテンツマーケティングであり、リードナーチャリングと同義と捉えることで、顧客と継続的な関係性の構築や、商談の創出につながるのです。

リードナーチャリングで大切なのは「線のコミュニケーション」

リードナーチャリングを行ううえで意識したいのが、「線のコミュニケーション」です。

コール活動や相談会のように、顧客と直接コミュニケーションを取れる機会もコンテンツマーケティングの一環であり、リードナーチャリングの手法です。あらゆる手段を組み合わせて顧客との接点を継続的に作り、情報をヒアリングしながら丁寧にコミュニケーションを取ることが、リードナーチャリングにおいて大切です。

「線のコミュニケーション」で重要なのは、見込み顧客が本当に必要としているタイミングで、必要な情報を提供することです。やみくもに接点を作って商談獲得を目指すのではなく、お客様の課題解決を手助けするために、コミュニケーションを図ることを意識しましょう。

3.アジタス流リードナーチャリングを進める4つのポイント

アジタスが考えるリードナーチャリングは、4つのポイントがあります。

【1】線のコミュニケーションのための顧客理解

見込み顧客が求めるタイミングで必要な情報を提供するためには、顧客理解の深さが鍵を握ります。顧客理解を深めることで、線のコミュニケーションの精度も高まり、良質なリードナーチャリングにつなげられます。

顧客理解の深化に重要なのは、「顧客は何を考えているのだろう?」という視点です。

例えば、商談化しないリードについて、「なぜ商談化しなかったのか」「商談化するために必要な情報は何だったのか」を顧客視点で考えることで、次に顧客とコミュニケーションを取る際に寄り添うことができるでしょう。

寄り添うコミュニケーションによりお客様の状況も見えてきて、継続的で効果的なアプローチが可能となります。

【2】定量的・定性的な情報の獲得

顧客理解を深めるためには、顧客情報の把握と蓄積もポイントです。情報をどのように取得・管理するのか、手に入れた情報はどのようにアウトプットするのかを整理することで、インサイドセールスの精度も向上します。

顧客情報には、「定量的な情報」と「定性的な情報」があります。

▼定量的な情報の例

  • 企業属性
  • 担当者属性
  • Webサイトへのアクセス頻度
  • 閲覧ページ
  • 離脱ページ
  • ダウンロード資料

▼定性的な情報の例

  • 見込み顧客の業務内容
  • 見込み顧客の方針
  • 見込み顧客の課題感
  • 見込み顧客の知識レベル
  • 見込み顧客の自社理解度
  • 見込み顧客の人柄、性格

定量的な情報は顧客データベース管理に欠かせません。かつ、一定の精度で顧客をセグメントし、コンテンツをレコメンドするような活動に活かすことができます。一方で、顧客理解の深化には定性的な情報が寄与します。

定量的な情報は会員登録フォームやMAツールで容易に収集・蓄積できる一方、定性的な情報は顧客と接する中で収集しなければいけません。定性的な情報をもれなく獲得するために、どのように取得・管理・アウトプットするか整理し、部署やチーム、プロジェクトメンバーとこまめに共有することが重要です。

【3】チーム間のコミュニケーション

顧客理解とナーチャリングの成功のために、チームや担当者ごとに情報を共有し、改善のための目的意識を揃えることを行いましょう。

マーケティングは、一つのチームで完結するものではありません。商品企画からカスタマーサクセスまで、さまざまな役割を持ったチームが情報を持ち寄り、目的を共有することで、全体最適が実現できます。「誰がどのような情報を獲得したのか」「顧客と過去にどのようなやり取りが交わされていたか」を関係者が把握することで、次に起こすアクションの最適化も進められるでしょう。

そのためには、各担当者が個別で獲得した情報を1カ所に集約する場所を用意する必要があります。情報の集約にはMAツールやSFAツールが役立ちます。例えばアジタスでは「HubSpot」を活用し、顧客の活動情報やインサイドセールスの架電情報を集約しています。

【4】MAツールの有効活用

MAツールの活用で意識するべきポイントは、「使いこなすのではなく、自社の戦略に合わせた活用方法を考えること」です。

MAツールはリードナーチャリングにおいて欠かせないものである一方、使いこなすことを目指してしまうと、マーケティングの本来の目的から離れてしまいます。「MAツールは効率化できる作業に取り入れる」という指標で活用方法を考え、人力で設計が必要な作業にリソースを割いて成果を最大化させることが大切です。

4.アジタスが運営するBeMARKEでの失敗と学び

4章では、BtoBマーケティングの領域における知見を持つアジタスが、自社メディア「BeMARKE」の運営の中で直面した失敗と改善方法について紹介します。

BeMARKEとは

アジタスが運営する「BeMARKE」は、BtoB企業のマーケター営業担当者に向けたお役立ち情報を発信するメディアです。

BtoBマーケティングに特化し、インタビュー記事の掲載やノウハウ資料の制作、診断コンテンツの提供などを行っています。

アジタスが直面した失敗と改善方法

BeMARKEの構築と運用、コンテンツマーケティングの支援を通じてリードナーチャリングのノウハウを獲得してきたアジタスですが、多くの失敗も経験しています。

ここでは3つの失敗と改善方法を紹介します。

失敗①リスト数が少ない状態で行動量を増やした

1つ目は、リストの母数が少ない状態でやみくもにアプローチを行い、想定していた獲得商談数を下回ってしまった失敗です。

Webサイトのアクセス数やリード獲得数が少ない状態では、お客様へのコミュニケーションを丁寧に行っても、具体的な相談を吸い上げることはできません。

この失敗に対し、3つの改善を行いました。

【1】SEO対策の実施
アクセス数向上のために、セミナーやカオスマップで専門性の高い企業からの被リンクを獲得。ドメインの弱さを補強

【2】コンテンツ力の強化
BtoBマーケティングや営業DXに悩む企業の課題や興味に対応した記事コンテンツを制作。2年かけて月間10万のPVを獲得できる企業に育てた

【3】営業体制の変更
やみくもなコンテンツ送信やコール対応を見直し、1リードごとに丁寧なコミュニケーションを取れる体制へ変更

失敗②リード数が上がる一方で商談は増えなかった

BeMARKEのドメイン強化や体制の見直しによりリード数が増加した一方、商談の機会は増やせなかったというのが2つ目の失敗です。

失敗の背景には、検索ニーズに対応したコンテンツを増やしたのに対し、お客様の検討プロセスが進んだ際に提示できるコンテンツはなかったこと、検討フェーズに応じたトークができていなかったことがあります。

この失敗に対し、2つの改善を行いました。

【1】検討プロセスに応じたコンテンツの企画・制作
流入重視ではなく、「お客様の課題解決とプロジェクトの前進」を意識したコンテンツを企画・制作し、顧客ニーズに応えた

【2】営業体制の変更
やみくもなコンテンツ送信やコール対応を見直し、1リードごとに丁寧なコミュニケーションを取れる体制へ変更

失敗③商談獲得が目的のコールを続けていた

3つ目は、目の前の商談獲得のみを考えたコール体制に陥っていたという失敗です。

コンテンツを充実させたことで、資料ダウンロードやセミナー参加者の数を増やせた一方、顧客への後追いコールを実施しても商談化できない状況が続きました。

この失敗に対してはナーチャリングの考え方を見直し、「インサイドセールスは中間指標を意識すること」としました。具体的に行った改善は次の3つです。

【1】営業体制の変更
やみくもなコンテンツ送信やコール対応を見直し、1リードごとに丁寧なコミュニケーションを取れる体制へ変更

【2】コール活動の見直し
コール活動をクリティカルな商談打診をするための情報集めとして機能させた

【3】事前ヒアリングの実施
アポ獲得時も商談前にヒアリングを行い、商談への期待値を維持させた

3つの失敗に対してさまざまな改善策を実行しましたが、共通するのは「線のコミュニケーションを重要視するようになった」ということです。最適なリードナーチャリングを実現するためには、お客様についてよく知り、丁寧かつ持続的なコミュニケーションを行っていくことが重要となります。

5.「線のコミュニケーション」の具体的取り組み

5章では、アジタスが「線のコミュニケーション」をどのように実行しているか、具体例を紹介します。

ナーチャリング体制の見直し

まずは、「線のコミュニケーション」を生むためにナーチャリング体制の見直しを実施しました。

  1. 定量的な情報の収集
  2. ホットリードを検知してやみくもなアプローチを回避
  3. 情報提供を目的としたコールの実施
  4. 定性的な情報の収集
  5. 顧客が求めるタイミングでのアプローチ
 ——蓄積された定性的な情報をもとに、適切なタイミングで再アプローチ

これらのフローを踏むことで、顧客との継続的な関係性を構築し、有効な商談獲得につなげることができました。

HubSpotを活用したリード情報の蓄積とアプローチ

アジタスでは、リード情報の管理にHubSpotを活用しています。具体的な活用方法を見ていきましょう。

BeMARKEの会員登録があると、HubSpotに属性情報が蓄積されます。

実際の画面一例

これらの情報の中からアジタスの案件化可能性の高い企業が自動的に判定され、ホットリードとして通知されます。通知により、商談の可能性が低いリードへのやみくもなアプローチを回避できます。

実際の画面一例

こうしてホットリードへアプローチすることで商談創出の機会を増やせ、商談に至らなかったとしても定性的な情報を獲得することができます。アジタスでは、コール時にヒアリングした業務内容や課題感、顧客の人柄などをテキストで具体的に残すようにしています。

実際の画面一例

このように定性的な情報もHubSpotで管理することで、顧客理解の深化と関係者との共有も効率的に行えるようになりました。

このようなプロセスを回すことで、2~3回目以降のコールでの商談獲得率が向上。「線のコミュニケーション」も実現することができました。

6.リードナーチャリングの成功のためにアジタスができること

リードナーチャリングの成功を導くために、アジタスではHubSpotを活用した支援を提供しています。自社で活用した結果得たノウハウをもとに、顧客情報のプラットフォーム統一や、本質的なコンテンツマーケティングによる成果最大化の支援が可能です。

そのほかに、コンテンツマーケティングの実行に向けた戦略の設計と、各種コンテンツの制作実行を一気通貫で実施するなど、マーケティング戦略におけるスタートから実行までをサポートしています。

7.まとめ

この記事では、リードナーチャリングに必要な「顧客理解の仕組みづくり」について、必要な考え方やアジタスの具体事例を紹介しました。

最適なリードナーチャリングのためには、お客様と継続的な関係性を構築する「線のコミュニケーション」が必要不可欠です。コミュニケーションを図るために、お客様についてよく知り、どのような情報を求めているか判断するナーチャリング体制の構築が大切です。