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始める前に要注意!オウンドメディア初心者が陥りやすい失敗パターンと成功へのヒント

公開|2018.07.30

最終更新|2018.09.27

最近注目のオウンドメディア。後悔しないように失敗パターンを事前に学んでおきましょう。

はじめに:オウンドメディアは「究極の施策」

インターネットの発展に伴い、かつて新聞やテレビなどのマスメディアが担ってきた「不特定多数に向けた情報発信」を多くの企業や個人ができるようになりました。オウンドメディアはその中で生まれた概念であり、従来のような「企業が費用を払って情報を発信してもらうメディア(ペイドメディア)」に対して「企業自身が所有・運営するメディア」として位置付けられています(※)。

オウンドメディアは企業の発信力を強化し魅力づけを促進するだけでなく、顧客のフィルタリング・ナーチャリングや、競合に対する優位性の獲得など多くの成果をもたらすため、「究極の施策」ともいわれます。

近年、プッシュ型中心の営業スタイルからプル型手法を交えたマーケティングへの変化が見られるようになり、コンテンツを活かすマーケティングへの注目が高まっています。

オウンドメディア施策に取り組む企業は増えており、大成功する例がある一方、思うような成果につながらなかったり、撤退してしまったりするケースもあります。

多くの投資をしたはずのオウンドメディアは、なぜ失敗してしまうのでしょうか? 失敗の事例を詳細に検討すると、いくつかのパターンが浮かび上がってきます。

本記事ではオウンドメディア施策の「よくある失敗パターン」を分析し、落とし穴を回避して成功につなげるためのヒントを紹介します。

これに「第三者が運営し、当該企業の評判を獲得するようなメディア(アーンドメディア)」を合わせて「トリプルメディア広告」「POEM広告(Paid, Owned, Earned Media)」などと呼ばれています。

失敗パターン①:目的が曖昧なままでの走り出し

オウンドメディアに限らず、ビジネスの施策には明確な目的と目標、実現に向けた戦略が必要です。しかし、目新しい流行の施策になるほど、それらをしっかりと検討しないまま「とりあえずやってみよう」と見切り発車してしまうことが多くなります。

フットワークの軽さは長所ですが、行き先もわからないままにやみくもに走り出してしまっては、本来得られたはずの成果を逃してしまうかもしれません。

押さえるべきポイントを確認してから、本格的に始動させましょう。

オウンドメディア開設の前に決めること

ポイント1:オウンドメディア開設の目的はなにか?

「ユーザーに対して自社の情報を発信し、魅力づけする」ためのオウンドメディアですが、実は「ブランディング型」や「コミュニティ型」など目的別にさまざまなタイプがあります(とはいえ、いずれのタイプにおいても「ユーザーに対して自社の情報を発信し、魅力づけする」という狙いが根本にあることは変わりません)。自社ビジネスにどのような効果をもたらしたいのか、施策の方針や評価基準となるコンセプトを定めましょう(表1参照)。

ポイント2:目的達成のためのKPIは何か?

行動の指針となる指標を選定し、目標値を決めましょう。中間目標としてのKPI設定がなければ目的達成のためにどのような施策を打てばよいのかもわからず、霧の中で右往左往することになってしまいます。KPI設定が不適切だと、達成しても成果につながりません。最適な指針となるよう検討しましょう。

ポイント3:目的達成までのタイムフレームはどれくらいか?

目的やKPIが設定できたら、達成までどれくらいの期間が必要か考えておきましょう。オウンドメディアは大掛かりな施策であり、求める成果のレベルに応じて必要な期間も長くなります。同じPV数でも、一ヶ月後に達成するのと一年後に達成するのでは難度が大きく異なります。実現性のあるスケジュールになっているかを確認しましょう。

「自分ごと」への落とし込みが「全社一丸」を生む

ポイントを押さえたうえで最も重要なことは、これらの決定事項を社内外の関係者(ステークホルダー)の間で共有し、全員が同じ方向を向いて動けるようにすることです。

仮に要点を決めていしても、一部にとどまり共有されていなければ意味がありません。特にポイント1「オウンドメディア開設の目的」を噛み砕き、関係者にとって「オウンドメディアの成功が『自分たち』にはどのような変化、メリットをもたらすのか」を理解してもらうことが大切です。メリットがわかれば、営業部や生産現場などとの連携もスムーズに実現できるでしょう。

月並みな言葉ですが、「全社一丸となった取り組み」が成功を左右するのです。

成功へのヒント①:オウンドメディア開設の目的や基本戦略を明確に定め、関係者の中できちんと共有する

表1:タイプ別オウンドメディアの特徴

  • ブランディング型
  • 製品選択レベル引き上げ型
  • コミュニティ型
  • SEO特化型
目的
一般ユーザー間での存在感を高め、マインドシェアやブランド愛着度を高める
商品に関する詳しい情報を提供し、競合との違いを明確にした上での選択を促す
コンテンツを媒介にユーザー同士のコミュニティ形成を促し、多くのユーザーを集める
多様な検索ニーズに応えるコンテンツを元に圧倒的なPVを獲得し、ユーザーの行動情報を収集する
主なKPI
PV、SNS拡散
PV、問い合わせ件数
利用ユーザー数
PV、検索流入数
代表的なコンテンツ
インタビュー、対談、コラムなど
自社製品活用ガイド、比較記事、ノウハウまとめ、便利ツールなど
ユーザーアンケート、ユーザー投稿掲示板、商品レビューなど
疑問解決記事など
サイト例
サイボウズ式
ミキハウス出産準備サイト
&KAGOME
ニキペディア

失敗パターン②:計画性がないコンテンツ制作

立ち上げ当初は、コンテンツとして取り上げたいトピックは多いでしょう。しかしそこで勢いに任せて記事を更新してしまうと、次のような問題が起こってきます。

  • 数週間~数ヶ月でコンテンツのストックが無くなり、急にペースダウンしてユーザーが離れる
  • コンテンツの質やターゲットがバラバラで、メディア全体の評価が高まらない
  • コンテンツ相互の関係が考慮されておらず、検索などで訪問したユーザーが直帰してしまう

オウンドメディアは企業にとって目的を持った情報発信をする場であり、コンテンツの制作には戦略が求められます。
「質の高いコンテンツを提供する準備はあるか」
「継続的にコンテンツを制作していける見通しはあるか 」
少なくともこの2点について事前に検討しておく必要があるでしょう。当たり前のことかもしれませんが、この点を甘くみて失敗してしまうオウンドメディアも決して少なくないのです。

発信すべきは常に「読者が求めているもの」

オウンドメディアは「自分たちの知っていること、話したいこと」を一方的に伝える媒体ではありません。オウンドメディアはマーケティングの一部であり、コンテンツは常に「ユーザーが知りたいこと、ニーズに応えるもの」である必要があります。

読者が自社の顧客となるまでのどの段階にあり、求めている情報は何なのか。どんな情報を提供すればゴールにつながるかの見通しを踏まえ、戦略的に設計されなければならないのです。

例えば世の中には「社長ブログ」として多くの読者を集めているメディアがあります。これを見て「ブログの記事くらいどうとでもかける! 」と思ってしまうのは失敗のもとです。読者は「企業を率いる人物が日頃どのような情報を受け取り、どう考えているのか」を知りたがっているのであり、「社長個人の趣味やプライベートの出来事」を知りたいわけではありません。そこを履き違えてしまうと、仮に時間をかけたコンテンツであっても「ビジネスの成果を上げる」という目的を達成することはできないのです。

コンテンツの安定供給こそメディアの生命線

コンテンツを軽視する姿勢は、情報発信の継続性の観点からもリスクを伴います。

特に初期段階では、ユーザーを引きつけるために定期的にコンテンツの更新を行うことが重要です。ユーザーが新しいメディアに出会ったとして、記事の最終更新日が3ヶ月も前だったとしたら今後も継続的に見ていきたいと思うでしょうか。あるいは最近更新されていても、コンテンツの量が全体で数本しかなければユーザーが再訪してくれる可能性は低くなってしまうのではないでしょうか。定期的な更新によってユーザーにサイト訪問の習慣が生まれ、そうしたアクセスが積み重なることによって検索などからの流入も増えていきます。

メディア開設当初はコンテンツのトピックも豊富にあり、立て続けに更新していくこともできるかもしれません。しかしネタは意識して集めていなければ意外に早くなくなってしまいます。更新がなくなればせっかく伸ばしてきたアクセス数は落ち、かと言って更新を継続するために無理にネタを絞り出しても「更新それ自体が目的」のコンテンツはユーザーに見透かされてしまいます。

提供するコンテンツが低品質なものばかりでは、「ユーザーに対して自社の情報を発信し、魅力づけする」というオウンドメディア施策本来の目的は達成できません。それどころかユーザーからの反発を招き、ブランドイメージの低下や直接的な損害につながる恐れもあります。一定以上の品質を持ったコンテンツを安定的に供給していくことはメディア運営の生命線だと言えるのです。

コンテンツ制作メソッドの確立とその浸透がメディア運営を安定させる

自社の提供するサービスやそれに隣接した領域について、ユーザーはどのようなことを知りたがっているか。

個々のケースに合わせて数十~数百のカスタマージャーニーを作成し、ユーザーの行動を分析していけば、それに合わせたコンテンツを作ることは難しくありません。同じようなテーマでも切り口を変えることで、全く別のセグメントに訴求することができます。

担当者個人の裁量やセンスだけに基づいたコンテンツ設計から、システマチックにコンテンツを生み出し続けられる体制への転換。つまり「編集部」の確立が情報発信を安定させメディアを成功に導く鍵になるでしょう。

成功へのヒント②:「編集部」の体制を整え、コンテンツ制作のメソッドを確立する

失敗パターン③:「長期施策」を理解しない上層部の判断で規模縮小

オウンドメディアは長期的な施策なので、明確な成果を得られるまでには時間が必要です。経営層や決裁者がこの事情を知らないと、成果が上がっていないことを理由に予算を削ったり、極端な場合にはプロジェクト中止の判断をしてしまうことがあります。

最終的に大きな果実を得るためには、例えまだ芽も見えていない段階であったとしても、水やりや肥料を欠かすわけには行きません。ここで短絡的に予算やリソースを絞ってしまえばメディアは栄養不足となり、本来のポテンシャルを発揮できないまま弱ってしまいます。

こうした長期の施策をプレッシャーから守るためにポイントとなるのが、「明確なKPIの設定」と「小さな改善と成功の積み重ね」です。

「前進」の証明としてのKPI

KPIは自分たちが活動の方向性を決めるためだけでなく、ここまでの取り組みの結果を客観的に示すためにも役立ちます。長期的な過程を細分化することで「ゴールまでの道のりは順調である。成果への下地づくりが進んでいることは、このKPIの推移が示している」と主張できるようになります。
ゴールまでのチェックポイントを定めておくことは、自分たちの行動の指針を明確化するだけでなく、目標に向かって確かに前進していることを客観的に示すためにも有効です。

社内向けに「着実な成功の積み重ね」をアピール

費用対効果が不透明だと、予算が削られてしまう恐れがあります。オウンドメディアは最終的な成果が出るまでに時間がかかる大規模な施策であり、小さな改善施策一つひとつの影響を測りにくい部分があります。

しかし適切にKPIを設定することで、「小さな変化」を逃さずキャッチすることができるようになります。これは外部に対し「小さいながらも確実な前進」を示すのに役立つでしょう。「大きな成果」に向けて着実に進んでいることが伝われば、予算の削減もしにくくなるはずです。

また、細かい情報を測定し分析することは、コンテンツの質の改善にも役立ちます。ユーザーニーズの分析によってコンテンツの精度が上がれば、さらに成果を上げやすくなるという好循環が生まれます。
ここまで来れば、最終的な成果達成まであと少しだといえるでしょう。

成功へのヒント③:中間目標としてのKPIとその達成計画を定め、プロジェクトの進捗に透明性を確保する

おわりに:明確な戦略と安定した体制がオウンドメディア成功の鍵

企業がオウンドメディア運営で陥りがちな「よくある失敗」3パターンをご紹介しました。主体的な情報発信の重要性が広く認識され、オウンドメディアに挑戦する企業も増えてきました。一方で身近になってしまったために、体制が整わないまま取り組んで落とし穴にはまってしまうケースも多くなっています。

これからオウンドメディアを始めようと思っている人はこれらの失敗パターンを反面教師に、ポイントを外さないようにしてメディア開設の準備を進めてください。すでに取り組んでいていまいち成果が出せていないという場合は、失敗パターンにはまっていないかチェックしてみましょう。

オウンドメディアは成功したときのメリットが大きい非常に魅力的な施策です。戦略的な取り組みを行い、貴社のビジネスを一層拡大させていきましょう!

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