ケーススタディ|株式会社アジタス

「カタログ頼みの営業から抜け出したい」──多拠点・多製品の産業機器メーカーが挑んだ“デジタル起点の営業改革”

作成者: アジタス編集部|2025-06-20

プロジェクトの背景

とある産業機器のメーカー兼商社から、こんなご相談をいただきました。
「カタログを配って、あとは注文を待つ。そんな営業のやり方を見直したいんです」

同社は産業資材や機器など5,000点を超える製品を取り扱い、全国に多くの営業担当を抱える企業です。取引先も幅広く、製造業などから大学の研究機関まで多岐に渡ります。

長年、営業は「訪問してカタログを配る」というスタイルを続けてきました。しかし最近では、

  • FAXで届く注文書からは、お客様が何を求めてその製品を選んだのかが読み取れない

  • 社内の担当者交代が頻繁で、顧客情報が引き継がれていない
    といった課題が浮き彫りになっていました。

そんな中私たちに寄せられた相談は、「Webを起点に、お客様の興味や困りごとを把握できる体制に切り替えたい」というものでした。
誰が、いつ、どんな背景で製品を検討しているのかを、営業がきちんと把握し、適切なタイミングで提案ができる組織を目指すプロジェクトがスタートしました。

取り組み当初の課題

最初のヒアリングでは、「紙カタログからの依存をやめて、Webサイトの発信体制を整理したい」「活用されていない顧客リストをどうにかしたい」といった声が多く聞かれましたが、具体的に何を整えるべきかは、社内でもまだ定まっていない状況でした。

そこで私たちは、営業活動や製品検討から購入の流れを丁寧に確認しながら、プロジェクトの初期段階で整理した“重要な課題”が以下の4点です。

課題 状況 営業活動への影響
顧客の検討状況が見えない FAX注文が主で、なぜその製品を選んだかが分からない 適切な提案や次のアクションが打てない
顧客情報の断絶 営業担当の異動・退職時に、やりとりの履歴や背景が引き継がれない 関係が途切れ、機会損失を止められない
製品情報の更新が遅い 紙カタログの制作サイクルが長く、価格や仕様の変更に追いつけない 最新情報をお客様に届けられない
検討期間中の情報提供がない お客様が買い替えを考えている時期でも、接点を維持できない 他社に乗り換えられるリスクが高まる

アジタスの見立て

このプロジェクトでは、以下の3つが“営業成果が頭打ちになる根本的な理由”だと私たちは捉えました。

  1. お客様の動きをデータで捉えられていないため、提案のタイミングを逃してしまう

  2. 製品情報をタイムリーに伝える環境、または多様な探し方に答える環境が整っておらず、関心を持ってもらうチャンスが減っている

  3. 買い替えや再購入までのサイクルが長期間にわたる商材の特性に合わせた、関係をつなぎ続ける仕組みがない

このような背景を踏まえて、私たちは「検討のきっかけを捉える」「商品選びを手助けする」「関係を維持する」の3点を柱に、支援を進めました。

解決までのストーリー

営業活動とお客様接点の棚卸しから開始

はじめに、営業活動や展示会、Web、カタログなど、どのような場面でお客様と接点があるのかをすべて洗い出しました。
そのうえで、各製品カテゴリごとに、

  • お客様はどのようなシチュエーションで製品の検討をし始めるのか

  • 購入を決める決め手は何か
    などを、現場の営業担当及び受失注データを踏まえて整理していきました。

Webを“見える化の土台”にするサイトリニューアル

次に取り組んだのが、Webサイトの再構築です。様々な状況のお客様が商品を探しやすくするため、製品マスタや価格データベースと連携できるCMSを構築し、

  • 製品情報をリアルタイムかつ、表記揺れなく伝えられる情報管理体制
  • お客様が実現したい状態から製品を探せるナビゲーション

  • 複数の製品を並べて比較できる機能

    などを設計・実装しました。加えて、保証書登録機能をWebに搭載。購入者からの製品の登録を通じて顧客データを蓄積できるようにし、「買替タイミングの予兆」を取得できる仕組みにしました。

営業担当が“今、動くべき顧客”を把握できるように

製品登録や閲覧履歴、資料DLといったお客様の動きに応じて「今、誰に声をかけるべきか」がわかる仕組みをMAツールを使って営業部門と一緒に設計しました。
営業個人の勘に頼らず、具体的な行動履歴に基づいて提案タイミングを判断できるようになったことで、営業のサポートが必要なお客様に接触できるようになりました。

検討初期から寄り添える情報発信体制の整備

製品展示会へ出展する機会が多い一方で、従来の展示会後の対応は「関心度が高いお客様に資料を配って追いかける」だけでしたが、今では

  • 機種の選び方をわかりやすく解説した比較記事

  • 初めて導入を検討する方向けの入門コンテンツ
    などを用意することで、「今すぐではないが興味がある」という方にも適切な情報を届け、展示会後もWebサイトを通じて関係を築けるようになりました。

誰が担当でも同じ説明ができる、営業資料の標準化

もともと、営業担当の交代が頻繁であるにもかかわらず、製品や顧客の理解が個人に属していたため、提案の質や対応スピードにばらつきが出てしまうことが課題でした。

そこで、Webサイトで発信している製品情報やFAQ、比較コンテンツと連動する形で、“誰が説明してもブレない”営業資料を再構築
導入事例や製品の特徴・選定基準を共通の言葉で説明できるようにしたことで、担当交代時にもスムーズに引き継ぎが行え、営業の品質を保つ仕組みを整えました。

プロジェクト成果

指標 開始時点 12か月後 24か月後
月間Webアクセス数 約65,000 約90,000 約193,000
月間問い合わせ件数(カタログDL含む) 15件 25件 95件
お客様対応にかかる人件費 約1.1億円 約1.1億円 約5,100万円(半減)
接点を持てた見込み顧客の累計数 290件 490件 2,560件

お客様の声

「保証書登録をきっかけに、お客様の検討状況が見えるようになり、より早く・的確に提案できるようになりました」

「製品情報の更新や資料作成の手間が減り、Web担当が“届けたい情報”に集中できるようになりました」

アジタスが提供する価値

──商品点数が多く、購買までの検討期間が長い企業に合わせた「営業のしくみ」を、社内に根づく形で共に設計する。

本プロジェクトでは、多様な顧客の検討プロセスに合わせた検索・選定導線を設計すること、また営業への情報提供の仕組みを設計することで、お客様と営業双方の“製品選びのレベル”を引き上げ、顧客の購買体験の質を高める環境を整備しました。
あわせて、膨大な商品情報を迅速かつ正確に更新できる仕組みを導入し、日常運用の負担も大幅に軽減しています。

担当者の悩みに寄り添いながら、組織にあった方法を一緒に考え、走りながら整えていく。
それが、アジタスのスタイルです。

紙カタログ営業やお客様の定期発注に頼らない
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